【加藤幸恵】VOL.② 不満ばかりだった主婦の人生を変えたピラティス〜スタジオオーナーがシンプルに生きる今を語る


ピラティスは嫌な自分を変えるきっかけだった


 ー今、ピラティスに出会うまでを振り返ってみられて、ご自身が何を欲していたんだと思いますか? 


 多分、《自分が変わりたかった》のでしょうね。そう、そうだと思います。「面倒くさい」「だるい」と、ずっと文句を言っていた自分に対して、もどかしさを感じていました。そんな自分を何とかしたかったんです。


子どもが小さくて、日々余裕がなかったとは言えども、その時の苛立ちを人に当たり散らしていた自分が嫌だったんでしょうね。 



ー「自分を変える」きっかけが欲しかった。


そう思います。それがピラティスでした。ピラティスを始めて、呼吸が変わり、身体は確実に変わりました。ピラティスで人生が変わったと思うんです。人に対しても、前より優しくなれているように感じています。

何よりも、良い意味で自分中心で動けるようになりました。 



ーなるほど。良い意味での「自分中心」とは、幸恵さんにとってどんな感じですか?


そうですね。人に振り回されにくくなりました。例えば、その時に振り回されたとしても「わたしは大丈夫だ」と思えています。そう思うと、やっぱり人生が変わったんでしょうね。それに、勉強は本当に嫌いだったのに、今勉強が楽しいと思えているんですよ。


《ああ、こんなところにわたしの好きなことあったのか!》という感覚。今は、学ぶことが楽しい上に、それを人に役立てられる環境を作れていて、この《循環》がある良い流れを感じられています。


ピラティスに限らず、方法論はたくさんあって、それをどのように使うかは自分次第だと思っています。それは、さっきのセンスという言葉に置き換えられるのかもしれないですね。


目の前にあるものを自分の感覚とどのようにつなげて落とし込んでいくのか、また目の前の人とどうつなげていくのか、なんです。



ーとても大事なことですね。他には、どんなことを意識されていますか?


わたしは、お客さんに対して「教えてあげる」というスタンスをとったり、「先生」と呼ばれたりするのは嫌なんです。「ただ体に興味があって勉強して、ちょっと知識があるだけ」だと思っています。あまり上下をつくりたくないんです。



ー先生と呼ばれたくないのは何故なんでしょう?


ピラティスの考え方として、わたしが指示をして動いてもらうというよりは、カラダを動かすのはお客さんなのだという前提があります。車に例えると、車自体がその人で、私はナビのような役割なんです。


最短で、その人が行きたい場所に行けるように誘導する役です。「先生」というと、私の中で「指示で相手を動かす」という、一方的なイメージが強くあります。


でも、わたしはお客さんとキャッチボールをしながらやっていきたい。だから、そこに「先生」と呼ばれる違和感があるんです。



ー一方的な指示をで相手を動かすのではなく、キャッチボールをしていく。そうすると、どんな点で良いのでしょうか? 


キャッチボールをすると、何がいいのかというと、お客さんが受け身ばかりではなく、自分でやってみることで《自分の体のことを自分で知ることができる》。それが大切だと思っています。

みんなそれぞれ、自分は「こうなりたい」望みのようなことを持ってらっしゃる。その未来の自分に向かうお手伝いを一緒にやらせてもらっている感じなんです。


だから、お客さんの軸があって、わたしの軸もあって、《それぞれが軸を持っておけばいい》。わたしは、それを大事にしています。 



 ーなるほど。お客さんが《自分を知ること》に重きを置かれている、と。


はい、そうなんです。ライフスタイルの変容をお手伝いすることが根本にあります。その方の今の状況、家や仕事、人間関係、もっと奥まで知っていくと、性格やその人の考え方も知るようになります。

そこで、カラダの使い方において、何を手放していく必要があるのかを知り、ピラティス が提供できたらと思っています。 




 女性の「自分で選択をして、生きていく」サポートがしたい


ー経営者として、2店舗目出すと決めることも覚悟が必要だったのではないかと思いますが、それはどんな思いからだったのでしょうか?


最初に《「インスタラクターを教えられる」インスタラクターにならないとあかんな》と思い、それを目標にしてやってきました。だから、必然的に人材育成にも関心がありました。


そうとなれば、「大きめのスタジオもいいかもな」と考えるようになり、自然と流れに乗ってきたという感じです。 


それから、「この神戸の垂水という地域で、歩いている人たちが、みんな綺麗な姿勢だったら、めっちゃ素敵やな」と思うんです。「そのためにはどうしたらいいんだろう」と思うと、結局一人では限界があり、インストラクターを増やすしかないんです。


わたしは、来てくれているインストラクターが、自分で店舗を出してやっていけるよう、一人立ちを目指しています。それを求めている方もいれば、求めてない方ももちろんいますけれど、わたしはその意識でやっています。 



 ーなるほど。考え方の《ちがい》がある人たちにどのように関わっておられるのですか?


大切なことは、人と関わる上で、《自分を閉ざさない》ことだと思っています。わたしのスタンスは、《オープンでいること》です。相手のことばかりを聞いて、自分のことをあまり話さないなんてことはしないです。

それは、わたし自身の経験からなんです。わたしは、それによって素敵な人たちと繋がってきましたから。自分をオープンにしてる方が楽だと思うんです。



ー大切なのは、オープンでいることなんですね。このスタジオをどんな場にしていきたいですか?


この場に、いろいろな《色》が入ればいいなと思うんです。人によって違う色が。マーブルのように色が全体的に混じりあうのではなく、グラデーションになるイメージです。個が消えないようにしたい。


今のインストラクターのメンバーは、わたしに近い考え方の人もいて、すごく違う考えの方もいて、その間の方もいます。その中で、全体的にバランスが取れたら本当にいいなと思っています。


このスタジオには、フリーランスで働く方に来てもらっています。経験を重ねて、インストラクターとしての自信がつくように、わたしができることはサポートしたいと思っています。 



 ーハブのような感じでしょうか?


 そう「ハブ」です。わたしは大きな目標を掲げて、人を引っ張っていくリーダーではないんです。だから、個々を尊重するしかないと思っています。夫とのパートナーシップを通して、彼がどうにもこうにも、「わたしには変えることができない存在なんだ」と学んだ経験からも 笑。


昔は「ついていくよ」という感じでしたけれど、今は「あなたはあなたでどうぞ」という感じのパートナーシップに変わりました。でも、それで良かったと思うんです。彼も、インストラクターとして、ここで働いてくれるようになりましたし。



ーご夫婦で協力して働くって良いですね。ご自身の変化については、どのように感じておられますか?


自分が受けているピラティスのレッスンで、インストラクターから提示された動きをそのまま、身体を使って動けるようになりました。動きがシンプルになってきたんです。
20代の頃より、40代の今の体が一番良い状態です。


年齢を重ねることが楽しくなっています。以前は自分のモヤモヤや、余計なことを考えすぎてしまう日常でしたから、不安もいっぱいある状態でした。それがかなり減りました。 



日常の不安が減った。


そうですね。《結局はなんとかなるやん》、《今を大切にするってほんまなんやな》とやっと思えるようになってきました。余計なことを考えないようになってきた。昔はいろいろ考えていて、しんどかったんでしょうね。

現代社会は、情報に振り回されないように選択をしないといけないじゃないですか。そのお手伝いをしていくことが、《自分の生き方》なのかなと思うんです。


生きていくことって選択の繰り返しですよね。「何食べる?」「今日はこれを食べる」も、そう。そこで、自分で選択できずに振り回されてる人を見ると、子育てで必死だった自分が重なって見えます。


女の人は、現実的に、どうしてもそういう機会が多いかなと思うんですね。介護とか子育てとか、自分を犠牲にしてでも家族のことをしていたりします。



ー現実として、そんな女性が多いことは確かですね。


はい。わたしは、子どもが小さい時、特にやりたいことがあったわけではないけれど、自分の時間がないことにすごくイライラして、もがいてたような気がしますね。

だからこそ、ピラティスを通して、自分のことを考える時間をもち、少しでも楽になってほしいです。特に、女性に頑張ってほしいと思っています。



ーそんな風に思い、サポートしてくれる存在はとても心強いですね。 



 自分で立つことを大事にする彼女のシンプルな生き方。仕事好きな女性がどう働き生きるかを試行錯誤し、ピラティスを通して自分を確立してきた彼女の姿があった。そんな彼女に惹かれて集まる人たちと、グラデーションのある空間を創造している。


彼女のピラティスレッスンは確実に身体が変化する。それは、その人がどんな人でどう伝えれば理解して身体が動かせるのかという観察力と、ただの主婦であった彼女が自分の身体で実践を繰り返し身につけてきた感覚、学びと体験によって積み上げてきた知恵が結果につながっているのだろう。


センスに努力を重ねた実力派の彼女が目指すのは、流行りではなく本物のピラティスを広めること。これからも圧倒的に結果を出す本物のピラティスでファンは増え続けるだろう。 


PROFILE 


加藤幸恵(Yukie Kato)

ピラティスインストラクター


20代は販売職、コールセンター、スポーツジムなどのパートを経験し、子どもが小学1年生になるタイミングで、自分の身体と向き合う時間を確保しピラティスを始める。スポーツジムのスタジオプログラムレッスンをもつことがキッカケになり、インストラクターを目指す。


2022/10月 STOTTPILATES®Mat,Reformer,Cadillac,Chair,&Barrel,level1&2資格認定 


2023/3月
Merrithew TM FascialMovement 資格認定

2021/11/12


垂水区初、ピラティス専門スタジオpilates.yをオープン


2024/1/25
2店舗目となるスタジオpilates.y2をオープン


頭もカラダもスッキリして気持ちもhappyになれるピラティスは、日常生活を快適にしてくれる手段。"楽しく、わかりやすく、効果的に"を心がけたレッスンを行い、自分のカラダへの気づきになる時間を大切にしている。 



pilates.y

https://www.instagram.com/happy_pilates.y

住所:兵庫県神戸市垂水区霞ヶ丘8-1-55-201

Mail:happyukie.pilates@gmail.com

Blog:https://happy-pilates-y.amebaownd.com/


pilates.y2

https://www.instagram.com/happy_pilates.y2 

住所:兵庫県神戸市垂水区本多聞3-11-11-201

アクセス:こちらから

時間:9:00〜16:00  日曜日定休




取材

はぎのあきこ
フリーインタビュアー / ウェルビーイング思想家


自分とまわりの環境とのつながりの中で、安寧を感じ幸福な状態を指すspiritual well-being思想を基軸として、「わたしたちはどう生きたいのか、どう死にたいのか」という正解のない問いを探究するため、独自のスタイルで取材・執筆をしながら、タッチケアやエネルギーワーク、ヒーリングを行うセラピストとして活動中。


保健師および看護師、教員として人の生死に触れ、「いのち」に直面してきた経験や最愛の祖母の死からの学びから自分の生き方、在り方を見つめ直すことが今の活動を始めるきっかけとなっている。「自分を知る」をテーマに生きる力を育み、体感して考える講義を得意としている。



取材や発信のテーマは、十人十色の「自分」という存在の美しさ、「いのち」がある今の喜びを伝えている。


情熱をもって「いのち」を尊重し生きている人への取材を2024年より自身のウェブサイトにて掲載スタート。


《主な講義》

2021年〜生命倫理・看護学原論の一部講義

2024年〜人間関係論担当

セルフマネジメント
メンタルヘルス
ウェルビーイング
他者とかかわり生きる
自他理解とは
倫理と道徳
生命倫理
関係性の発達理論
「聞く」をはじめる
生きるとはたらく
キャリアマネジメント  など



TEOLつながり

TEOLつながりは 「わたしたちはどう生きたいのか、 どう死にたいのか」 十人十色の「自分」という存在の美しさ 「いのち」がある今の喜びを 探求し表現するための情報を お届けするメディアです。 自分とまわりの環境とのつながりの中で 安寧を感じ幸福な状態を指す スピリチュアル・ウェルビーイング思想を 基軸として、答えのない問いから 一人ひとり違う生き方を見つめるヒントを お届けします。